トマ・ピケティの格差論 | 資本主義は格差を生み出す

この記事は約5分で読めます。



経済学の常識を変えた経済学者「ピケティ」


資本主義は格差を生み出す

アメリカの企業トップが、年間10億円規模の報酬を得ているのはクレイジーだ。
彼らのパフォーマンスからはそこまでの報酬は正当化できない。

このように述べるのは、2014年から日本でもお馴染みのピケティ氏。
彼は、フランスの経済学者で現在はパリ経済学校の教授です。
彼の格差論は、資本主義が格差を無くすといった今までの経済学の常識を変えるもので、資本主義こそが格差を生み出す原因であると定義しています。

歴史比較観点からの研究が得意で、世界各国の所得と富に関する膨大な歴史的データを調べ上げ、ここ30年間 資本主義の発達に比例してアメリカの格差が大きくなっているのを証明しました。

本来、資本主義経済の発達は格差をなくすという考え方が経済学では一般的でしたが、ピケティ氏はこれまでの経済学が例として挙げている20世紀前半の格差の縮小については、経済発展とは無関係の大恐慌や第二次世界大戦が原因だったと述べています。

企業報酬



1%の衝撃。富の集中はなぜ加速するのか?

ピケティ

アメリカにおいてトップ1%の所得者(富裕層)がアメリカ全所得の何%を占めているかというデータを調べると、2014年現在において約20%も占めていることが分かります。

1900年代初頭に20%くらいだった集中度は、大恐慌あたりからその数値は落ち始め、しばらく6~8%の集中度の時代が続きました。
しかし、1980年代以降に再び富の集中度は高まり、現在は再び20%程度になっています。

『資本論』では、この考え方を「いちばん恵まれている人への富の集中度」としています。

さらにこのような富の集中は今後ますます加速をしていくとピケティ氏は指摘しており、その理由として下記を挙げています。

1.グローバル化
→仕事が賃金の安い途上国に集まりやすく、先進国の低所得者の賃金は更に抑えられる。

2.技術進歩
→非熟練労働に対する需要が低下し非熟練労働者の賃金が低下。

3.IT化
→技術進歩がブルーカラーの賃金を減らしたと考えると、IT化はホワイトカラーの賃金までもを減らしたと言える。

4.労働組合の弱体化
→政治の保守化による労働組合の弱体化。

5.最低賃金の低下
→表面上の最低賃金ではなく物価上昇などを加味した実質最低賃金の低下。

6.高齢化
→ピケティの資本論を元に、日本で炎上している。日本の不平等の大半は高齢化で説明ができるという考え方。




r > g

r(リターン=資本収益率)
株や不動産などの資産運用の利益率
g(グロース=経済成長率)
働いている所得の伸び率

ピケティ

資産運用の伸びが働いている人の所得の伸びを上回れば、資産を持つ人と持たずに働いている人の格差は広がるばかりです。

ピケティ氏の研究によると、歴史上 「r」は「g」を常に上回り続けていました。


人口が増えない社会においては特に、現在の所得より過去に蓄積した財産が重要になり、受け継ぐ財産の無い若い世代にとって財産の世襲は大きな格差を生み出していくことになります。

資本主義をこのまま放置すれば、財産の世襲により格差はどんどん拡大していくというピケティ氏の問題定義は世界に大きな波紋をよびました。




日本における格差の根源は、正規雇用と非正規雇用。

親に格差があれば子にも顕著にそれが現れます。

例えば学力。
年収1000万円の家庭と、年収100万円の家庭では当然 子供の学費に充てられる金額が違います。
ましてや、年収100万では充てられる金額はゼロと言っても過言ではないでしょう。

実際に調査によると、近年の子供達の学力には親の年収が大きく影響しており、いくら遺伝子レベルで才能があったとしてもまともな教育も受けられずにその才能が開花することなく大人になっていくケースも珍しくはないと言います。

ピケティ

これらのことにもピケティ氏は言及しており、日本においてはアベノミクスによる経済発展と格差縮小を同時に行うべきで、まずは成長そして後で格差への対処という考えは間違っていると発言しています。

具体的には、若年層を優遇する税制に変更すべきで、特に資産が少なく労働所得しかない若者を優遇することを推奨しています。

また、若者が多い非正規雇用の待遇改善も重要で、これらは格差の縮小だけではなく、最終的には人口増加にも繋がると指摘しています。




世界中でベストセラー『21世紀の資本』

2014年12月9日
世界中でベストセラーとなったピケティ氏の『21世紀の資本』が日本でも発売されました。

「本年で、いや、この10年で、最も重要な経済学書になると言っても過言ではない」
ポール・クルーグマン(プリンストン大学教授)

「地球規模の経済的、社会的変化を扱った画期的著作だ」
エマニュエル・トッド(フランス国立人口統計学研究所)

「時宜にかなった重要書だ」
ジョセフ・スティグリッツ(コロンビア大学教授)

「かれの解決策に賛成するにせよ、しないにせよ、資本主義を資本主義から救おうとする人たちにとって正真正銘の課題だ」
ダニ・ロドリック(プリンストン高等研究所教授)

「この事実の確立は、政治的議論を変化させる、ノーベル賞級の貢献だ」
ローレンス・サマーズ(ハーヴァード大学教授)

「かれの研究が、スマートな人たちを富と所得格差の研究に惹きつけることを望む」
ビル・ゲイツ

「情報の豊かさがすばらしい」
ロバート・シラー(イェール大学教授)

21世紀の資本

新品価格
¥5,940から
(2015/2/3 11:54時点)


アマゾンキャプチャ
※2014/12/9発売 – 2015/2/1現在まで首位独走中

経済的格差は長期的にどのように変化してきたのか?
資本の蓄積と分配は何によって決定づけられているのか?
所得の分配と経済成長は、今後どうなるのか?
決定的に重要なこれらの諸問題を、18世紀にまでさかのぼる詳細なデータと、明晰な理論によって解き明かす。格差についての議論に大変革をもたらしつつある、世界的ベストセラー。

merumaga

このページの先頭へ