【ミクロ経済学3】需要と供給 | 価格を決めるのは生産者ではなく市場

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分業により市場経済ができた

【ミクロ経済学2】分業がもたらす3つのメリット | 市場経済を発達させた特化型分業で、分業については詳しく説明しましたが、この分業によって商品やサービスの交換が生まれ、生産と消費のバランスを調整する仕組みが必要となりました。

これが、市場経済と呼ばれる仕組みです。

市場経済は、国が生産や分配を管理するのではなく、個人や企業が自由に売買を行う経済のことで、基本的には売り手と買い手が中心となり国の調整が少し入ります。

また、市場経済は大きく分けて以下の3つの市場から成り立ちます。

財市場
商品やサービスが取引される市場。食料品をはじめ、衣類、電化製品、車、ITサービス、通信、理容、病院など人々がお金を払って購入するものすべてが含まれます。財市場においての、供給者は「企業」、需要者は「一般の消費者」となります。
労働市場
人々が仕事をし、企業がそれを雇うことを労働市場という。従業員が会社のために働く対価として企業がお金を支払います。労働市場においては、財市場とは逆で供給者が「一般の消費者」、需要者が「企業」となります。
資本市場
人々が企業に対してお金を投資する市場のことで、株式投資や銀行の預金などが含まれます。投資家が預けたお金を企業が運用し、利益を配当金や利息として支払います。この場合、供給者が「一般の消費者」、需要者が「企業」となります。





「価値」の考え方

経済学の父と呼ばれるアダム・スミスは「水とダイヤモンドのパラドックス」という有名なたとえを考えだしました。

物の価値には「交換価値」と「使用価値」があるという考えで、「交換価値」は取得に必要となった費用、とくに労働量の大きさを表し、「使用価値」は使用することによって得られる便益の大きさを表します。

例えば、ダイヤモンドは非常に高い交換価値があり手に入れようとすると、とても大きな対価を支払う必要があります。
しかしながら、実際の使い道についてはダイヤモンドはほとんど役に立ちません。

一方で見ずには生きる上での欠かせない使用価値があります。
飲み水としてはもちろんのこと、清掃、水上交通、農業散水など様々な使い道があります。
ところが、水は極めて安価であり、交換価値は非常に低いものです。

アダム・スミスの考え方は、デビッド・リカードにより引き継がれましたが、理論思考の強いリカードは、価値の基準として「交換価値」の方が明確であると考え、「使用価値」の概念を捨て、「労働価値説」を創りあげました。

これは、物の価値は生産に投入された労働量あるいは、労働時間の大きさで決まると説明する理論です。
ダイヤモンドは鉱山を探したり、その鉱山を切り開いたりするのに多大な労働力がかかるから価値があり、水は何もしなくても空から降ってくるから価値がないといったものです。

しかしながら、この考えはピカソを代表する芸術の世界において行き詰ります。

ピカソが書く絵も、二流画家が描く絵も労働力という観点から言うとあまり変わらないはずです。
しかしその価格差は歴然であることはデビッド・リカードは重々承知していました。

参考:アダム・スミス / 国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(上)
参考:アダム・スミス / 国富論 国の豊かさの本質と原因についての研究(下)






物の価格は需要と供給で決まる

デビッド・リカードが一度は捨てた「使用価値」の概念を、マーシャルやジェボンズ、ワルラスといった経済学者たちが改めて発展させました。

物の価格は、需要の強さ(=使用価値の大きさ)と供給の強さ(=交換価値の大きさ)のバランスによって決まるというものです。
人々の欲求に対してどのくらい物が豊富に人手可能であるかで価格は決まる。分かり易く言うと、物はどのくらい希少であるかにより価格が決まるというものです。

ダイヤモンドは人々が欲しがる量を手配するのが難しく入手困難のため高価になり、水は人々が生きるために必要とする量を容易に入手できるため安価であるという考え方です。

この考え方でいけば、物の価格は需要と供給のバランスによって決定されることとなり、例えば水不足でどこへ行っても水が買えない状況になれば当然その価格は大きく上昇するということになります。

これが経済学の基本原理である「需要と供給の理論」です。






需要曲線と均衡点

需要曲線左のグラフは需要と供給の関係性を表したもので、横軸が商品やサービスの量、縦軸が価格を表します。

青い線が需要曲線と言われるもので、これは価値と需要量の関係を表しているものです。
価格が下がれば下がるほど、需要量はどんどん大きくなっていきます。

赤い線は供給曲線で、需要曲線とは逆に価格が上がると供給量も増えていきます。

そして、この二つの曲線が交わるところを均衡点といい、市場経済では、価格は均衡点に向かって引き寄せられます。
均衡点とは分かり易く言うと、ちょうど良い状態のことを指します。

例えば、あるものの価値が均衡点より高い時、供給量が需要量より大きくなります。
すると売れ残りがたくさん余って、倉庫に積みあがります。
売り手は在庫を処分したい為、人々が買いたいと思う価格まで値下げをします。
こうやって価格が下がってくると、買いたいと思う人(需要量)が増えて、供給量が減り、やがて両者が均衡点で交わります。

このとき、価格と量は経済学的な意味で「もっとも効率的な状態」になります。






需要と供給の考え方を分析できる者は商売を制すことができる

需要と供給があらゆる物の価格を決めるということは理解できたと思います。

商売をするにあたっては、この需要と供給の状況をしっかり分析できる者が勝者となるケースが多く見受けられます。

逆に、いくら自己満足な商売をしていても、需要と供給を分析できなければ商売で成功する可能性は低くなるでしょう。

あらゆる価格の動きは、この需要と供給の考え方で把握できるからです。

merumaga

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