【ミクロ経済学9】規制と規制緩和 | 総括原価方式と料金上限方式

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規制と規制緩和とは?

規制
規制とは、特定の目的の実現のために、許認可・介入・手続き・禁止などのルールを設け、物事を制限すること。
規制緩和
規制緩和とは、経済学や公共政策などの文脈で、ある産業や事業に対する政府の規制を縮小することを指す。市場主導型の産業のあり方が望ましいと考えられる際にとられる基本的な政策手段のひとつで、市場競争を促進し経済活性化を果たすために採用されるが、導入による弊害の解決のため、セーフティーネットなどの構築が必要とされている。近年では単なる規制の撤廃・縮小だけではなく、全体的な制度改革を実行するとの意味合いから規制改革とも呼ばれる。

引用:Wikipedia

一部の業界においては、市場競争がうまくいかないことがあります。
競争することによってすべての企業が疲弊していき、結果的に誰も利益をだせずに潰れていくような状況です。

有名な話でいうと19世紀アメリカにおいて、鉄道事業が大ブームとなっていました。
鉄道業界で一番費用が掛かるのは、最初のレールをひくところで、それが終わってしまえば維持費はたかが知れています。
また、ライバルの鉄道会社やバス会社などがいない地域などでは、ほぼ移動手段を独占するわけですから、輸送の料金をかなり高めに設定する事だって可能です。

19世紀のアメリカでは、ここに目をつけた企業たちがわれこそ先にと鉄道事業に参入し、1882年までにおよそ15万キロメートルの路線がひかれました。
しかし、やがて鉄道会社同士の競争が激しくなると、熾烈な競争が起き輸送料金が急速に下がっていきました。
結果的に、各鉄道会社はレール工事に掛かった費用を返済する事ができなくなってしまい、1900年頃には民間の鉄道会社の約半数が破産手続きを行うという事態になってしまいました。

この様なことを繰り返さない為に、米国政府はそれ以降100年間にわたって鉄道事業に対して厳しい規制を行いました。




総括原価方式は公共事業の価格規制でもっともよく使われる

市場競争との相性が悪いものとして、電気やガス、水道といった公共インフラなどが挙げられます。

一つの町に電気会社が5つあり、住民が自由に選べたとします。
そうするとどうなるかというと、各電力会社用に電線を1社のときに比べて5倍に増やさなければなりません。
水道であれば水道管を、ガスであるとガス管を5倍にしないといけません。

その結果どうなるかはここでは端折りますが、その様な事態を防ぐために電力会社や水道会社は民間の企業でありながら、実質的には国の事業に近い状態に置かれています。
なお、こういった事業は公益事業と呼ばれ、国による規制の対象になっています。

この様な公益事業には共通点があります。

それは、どれも大規模なネットワークが必要であるということです。

先ほどのアメリカの例ではレールであり、電力会社の例であれば電柱や電線がそれです。
ネットワーク構築には膨大な費用がかかりますが、それさえできてしまえば低いランニングコストで運用できます。
そのため、新規参入に対する参入障壁が高く、国が管理していないとすぐに独占状態になってしまいます。

また、アメリカの鉄道のように、複数の企業が競争状態にあったとしても、インフラの構築が終わったあとは価格競争でお互いが疲弊していくことになりがちです。

つまり結論として、この様な事業においては、各社そろって破産するか、どこかが独占状態になるかのどちらかになります。
それを防ぐために国が規制をひくわけです。

その規制の中でもっともよく使われてきたのが、総括原価方式というやり方です。

総括原価方式とは、事業が効率的に行われた場合に要する総費用に適正な事業報酬(利潤)を加えた総括原価が総収入と見合うように料金を設定することです。
つまり、各社が自由に価格を決定するのではなく、この価格で販売しなさいといった様にある価格をつけることを義務付けられます。

日本の電力料金などはまさしくこの方法で決定されています。

総括原価方式は非常に合理的なやり方ですが、デメリットも存在します。
それは、どれだけコストがかかってもそのコストを元に価格を設定する為、一定の利益が常に保証されます。

つまり、企業側はコストカットなどにモチベーションが向かず事業効率化などが促進されません。
それどころか、よりコストを増大させれば動く金額も大きくなるので、コストの水増しなどをするケースもでてきます。




総括原価方式から料金上限方式へ

総括原価方式に代わる方法として登場したのが、料金上限方式です。
料金上限方式では、規制当局がある一定の価格を定めて、数年間その価格を変えないという取り決めを結びます。
例えば、電力会社であれば「今後の2年間をこの価格で売りなさい」のように決めておくのです。

その期間は価格が一定なので、コストを削減すればするほど利益が増えます。
期限がきたらその時点でのコストにもとづいて新たな価格を決定します。
そして企業はそれに対してさらにコストを削減しようと努力するわけです。

しかしながら、料金上限方式にも次なる問題が起きるようになりました。

それは、規制当局と企業側の談合などです。
規制当局が規制対象企業と深いかかわりになり、消費者そっちのけの状態になってしまうのです。




規制緩和が世界を成長させる

規制によるデメリットは結局のところ解消されず、1970年代以降は規制緩和が相次ぎました。

これにより、それまでの安定は失われて、放っておいても毎年同じような利益が見込める時代は終わりました。
当然、各社必死に業務効率化やイノベーションに取り組みだし、熾烈な競争が再び起こります。

しかし、競争が生まれたおかげで、消費者はそれまでよりも安く良い商品やサービスを手に入れられるようになりました。

また、IT関連などのドッグイヤー業界では、規制よりも競争させることのメリットは十二分にありました。
ドッグイヤー業界が規制により発達がとまれば、その成長に対する機会損失は計り知れません。
光インターネットなどが各社の競争により急速に進化し、消費者に安く提供できるようになったのもこの規制緩和による恩恵といえるでしょう。

結論として、全体の規制に賛成、反対を唱える前に、各事象ごとに物事を考えることが大切だと言えます。

merumaga

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