【ミクロ経済学5】労働市場 | どのようにして給与が決まるのか?

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3つの市場経済の一つ。労働市場。

【ミクロ経済学3】需要と供給 | 価格を決めるのは生産者ではなく市場で、市場経済は「財市場」「労働市場」「資本市場」3つの市場から成り立つと説明をしました。

今回は、その中の一つ「労働市場」について見ていきます。

労働市場
人々が仕事をし、企業がそれを雇うことを労働市場という。従業員が会社のために働く対価として企業がお金を支払います。労働市場においては、財市場とは逆で供給者が「一般の消費者」、需要者が「企業」となります。

財市場では、商品やサービスの価格について着目をしたと思いますが、労働市場では違います。
労働市場では、労働者の賃金が価格にあたります。

財市場に様々な商品やサービスの市場があるのと同様に、労働市場にもSE市場、美容師市場、飲食店店長市場、デザイナー市場など様々な市場が存在します。

違いとしては、企業が供給者で個人や家庭が需要者であった財市場に比べて、労働市場は個人や家庭が供給者であり、企業が需要者になります。




労働の需要と供給を考える


労働の需要は短期的には非弾力的で、長期的には弾力的

労働市場における需要とは、賃金と雇用者側が求める労働力との関係性のことをいいます。

賃金が上がると求人数は少なくなり、これは財市場において商品の値段が上がったときにあまり売れなくなるのと同じことです。
企業が利益を出すにあたって、人件費というものはなるべく抑えないといけないので、労働の賃金が上がれば上がるほど、企業側は労働者の数を減らす必要があるのです。

【ミクロ経済学4】価格弾力性 | 需要と供給の弾力性から適切な価格を導き出すで、弾力性について学びましたが、賃金の上昇によってどのくらいの労働の需要が減るかという問題は、労働需要の価格弾力性によって決まってきます。

基本的に、労働需要は短期的に見ると非弾力です。

なぜならば、一旦雇用した人を市場状態に応じて簡単に解雇したりはできないからです。

しかしながら、長期的に見ると、労働需要はかなり弾力的になります。

なぜならば、労働市場の賃金が上がり続け人件費高騰などによって企業側の利益率が悪化してくると、企業としては生産過程を見直したり、事業削減をしたりして大規模な人員削減を行うことがあるからです。

また、労働市場の賃金が上がらなくてもテクノロジーの進化などにともない、新たな製造機器を導入したりする際も労働者の数を一気に減らすことになります。




労働の供給はフルタイムで非弾力的、パートタイムで弾力的

次に、労働市場の供給について見てみます。
労働市場における供給とは、賃金と労働供給量との関係性のことをいいます。

賃金が上がれば、労働の供給量は増えます。
時給800円のときより、時給1500円のときのほうがもっと働きたいという思う人は多くなると思います。

賃金の上昇が具体的にどれだけ労働の供給量を増やすかについては、先ほどと同じく弾力性の問題となります。

フルタイム(月に160時間以上働く労働者)については労働の供給は非弾力的です。
賃金が10%上がったからといって、労働時間が10%上がることは決してありません。

なぜならば、フルタイムの場合、基本的に固定シフトであり労働時間を勝手に増やしたり減らしたりができないからです。

一方、パートタイムの場合は、労働の供給は非常に弾力的になります。
賃金が10%上がれば、労働時間も10%はもちろんそれ以上増える傾向にあります。




労働市場が抱える4つの問題


1.最低賃金

日本では、日本国憲法第25条の趣旨に基づき、最低賃金法(昭和34年4月15日法律137号)によって最低賃金が定められました。
それ以来、最低賃金を引き上げるべきか否か、そして引き上げるのであればいくら引き上げるのかという議論が絶え間なく続いています。

最低賃金は、それ以上安い賃金で労働者を雇うことを禁止する下限価格規制の一種です。
そして、最低賃金の引き上げは労働需要の低下に直結します。

なぜならば、最低賃金が上がると、企業は最低賃金レベルの非熟練労働者をあまり雇おうとしなくなります。
そしてその一方で、働きたいという人の数は増えます。
つまり、供給過多な状態になり失業率の増加につながってしまいます。

実際にアメリカでの調査によると、最低賃金を10%上昇させると非熟練労働者の失業率が2%程度上がったという結果もでています。
しかしながら、10%の上昇に対して2%程度の上昇なので、その弾力性は極めて低く、アメリカ最低賃金の需要と供給の関係においては、均衡点をさほどずれていないと言えます。

また、逆の見方をすると10%の最低賃金の上昇により、増加した失業率が2%の場合、98%の非熟練労働者が今までより高い賃金をもらえるようになったとも言えます。




2.労働組合

労働組合には主に二つの役割があります。

一つは、交渉を通じて組合員の賃金を上げるということで、交渉が上手くいかなければストライキなどを起こすこともあります。

しかしながら、労働組合の影響力が強くなり、あまりに強靭な姿勢をとるようになると、企業側はその影響力を縮小させるような対策を取り始めます。
最新テクノロジーの導入や業務の外部委託などにより労働組合に頼らない経営を行っていくのです。
これにより、労働組合はどんどん衰退していきます。
過去の日本における労働組合でこの様な道をたどったところも珍しくはありません。

もう一つの役割は、研修などをつうじて労働者を支援して生産性を上げていくことです。

近年はこの労働組合が上手く機能していないケースも多く、昔に比べて職場の有益な情報が経営陣に集まってきていないのではないかという意見もあります。




3.差別

労働市場において、最も厄介な問題がこの差別です。

経済学における差別とは、性別や人種、年齢、宗教などが原因で、雇用機会が奪われたり、賃金が他の人より安くなったりすることをいいます。




4.福利厚生

最後に、福利厚生も労働市場からは切り離せない話です。

福利厚生は労働者にとって、賃金と同じく重要な報酬だからです。
従業員は福利厚生によって充実した休みをとり、医療保険料や年金保険料などの一部を会社に負担してもらえます。

merumaga

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